発掘調査について、施主様、建設会社様、一般の方などから多く寄せられる質問にお答えします。
どのような場合に発掘調査が必要になりますか?
建築工事などで遺跡が破壊されてしまう場合に、発掘調査が必要になります。
発掘調査は、遺跡の記録保存のために実施されます。発掘調査は、遺跡の破壊行為であることから、遺跡そのものを保存するためには発掘調査は行わない方が良いのですが、マンション建設など地下深くまで工事が及ぶ場合、遺跡は破壊されてしまい、次世代の人たちに記録や出土品などの文化財を引き継ぐことはできなくなります。そこで事前の発掘調査が必要になります。
調査費用は誰の負担となりますか?
基本的に事業の原因者負担が義務付けられています。
テナント用のビルやマンション開発など、営利事業に関わる発掘調査経費は事業の原因者負担が義務付けられています。しかし、個人住宅などの場合は、国が補助金を拠出する場合もあります。
調査で発掘したものはもらえますか?
出土品は国民の財産とみなされます。
発掘調査の出土品は、遺失物法にもとづいて「落し物」と同様に所管の警察に発見届を提出します。3ヶ月を過ぎると、県教育委員会の保管を経て、市町村が国民の財産として保管を行います。
調査はどのような流れで行われますか?
行政による試掘調査によって遺跡の存在が確認されると本発掘調査を行います。
建設開発や新築工事を行う場合は、まず、遺跡台帳を確認することで、当該地域における遺跡の有無を確認します。遺跡台帳は、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡について、その時代・種類・所在地・面積・出土品など「周知の遺跡」を記載した台帳であり、行政の文化財担当部署において一般の閲覧が可能です。
「周知の遺跡」のある地点において開発や新築工事を行う際は、当該地点の地下のどのような深度に、どのように遺跡が存在しているのかを確認するために、行政が確認調査を行います。工事によって破壊される深度に遺跡の存在が確認されると、行政から事業者に対して発掘調査が必要との通告があり、事業者と発掘を実施する機関(発掘会社等)は、本発掘調査に向けた手続を進めます。この手続きは、文化財保護法93条第1項にもとづいて事業者と市町村および県の間で進められ、県の決済を受けた後は、文化財保護法92条第1項にもとづいて発掘会社等と市町村および県の間で進められるため、およそ2ヶ月の時間がかかります。
調査で発掘された遺跡や遺物を見学することはできますか?
見学会等が開催されれば見ることができます。
発掘会社等が発掘調査中に遺跡の見学会を開催することもありますが、見学会を開催するには事業者の理解を得ることが必要になります。また、調査期間に余裕がない場合は、見学会を開催することは難しくなります。しかし、多くの市町村では遺跡の調査研究発表会が開催されており、そこで遺跡を理解することができます。