ご挨拶

　遺跡は国民の財産であり、非常に大切なものです。発掘調査は、建設開発によって消滅してしまう遺跡を記録という形で保存する行為であり、そのため、遺跡が存在する地域において建築・土木などの開発工事を行う場合は、文化財保護法によって埋蔵文化財の発掘調査が義務付けられています。私たち博通は、これにもとづき20余年に渡り、鎌倉を主とする地域で発掘調査を行ってまいりました。武家屋敷や寺院をはじめ町屋、墓域などの貴重な遺跡の発掘を行わせていただくとともに、調査によって得られた新たな発見や成果を発掘調査報告書として残すことができました。

　私たち博通は、神奈川県が民間発掘団体の承認を開始した1996年以前から発掘調査に携わってきたメンバーが中心となり、長年の実績とともに培ってきた行政機関との信頼関係のもと、貴重な文化財保護と現代人の豊かな暮らしの双方を尊重しながら、確実かつスピーディな発掘調査を行ってまいりました。私たちは、歴史ある土地に暮らせることは素晴らしいことだと考えています。皆さんの立っている鎌倉の土地の下に、源頼朝や北条政子、実朝や公暁、足利尊氏といった歴史上の重鎮たちが歩いていたと想像するとわくわくしてきませんか。博通は、これからも中世の政権都市鎌倉の歴史研究と新しい街づくりに向き合い、この素晴らしい鎌倉の歴史を未来に活かすために全力で貢献してまいります。